こぼればえ①
2019.11.22
手前味噌の話からで恐縮ですが、私が小学校六年生の頃、もう卒業
を意識する年明けの一番寒い時期から、教室の片隅に日本水仙や
フリージアが小さな白い花瓶に活けて置かれるようになりました。
落ち着きを失いはじめた雰囲気の中、教室の初春の陽だまりに清ら
かな香りと凛と咲く花に気持ちを和ませてくれる事を、私たちは子
供ごころにも感じました。
でも誰がいつ飾ってくれているのか、皆知りませんでした。
少し経って、実は一人のクラスの女の子が皆の登校する前に花束を
持って来て、花が枯れてしまう前に取り替えている事が分かりまし
た。
伝え聞くに「もうすぐみんなや教室と別れの時が来る。みんなに少
しでも喜んでもらって明るく過ごしたい」という気持ちで普段目立
たない子がこっそりと、ひっそりと花を飾ってくれていたのでした。
ガサツな私は何故だかその時とても感激したのを思い出しました。
「気づかれなくても、さり気ない気持ちの表現」は、それからの私
の大切な美しさの基準になりました。
そんなこころもちでこのサイトをはじめてみました。